植木鉢にはどんな種類があるの?素焼き鉢・陶器鉢のメリット、デメリット

素材感にこだわる個性豊かな焼き物

植木鉢には様々な材質が使われていますが、どのような特徴があるのでしょうか?
この記事では植木鉢によく使用される材質について、メリットとデメリットを含めて、それぞれの特徴を「焼き物」「セメント・FRP」「自然素材・ガラス・金属」の3つに分けてわかりやすくお伝えします。
第1回は焼き物。
テラコッタ(素焼鉢)、モスポット、陶器鉢、半磁器の4つの素材について、それぞれの特徴とおすすめの植木鉢を厳選してご紹介します。

他の材質は下記のページでご覧頂けます

1.テラコッタ(素焼鉢)とは

テラコッタとは「焼いた (cotta) 土 (terra)」に由来する言葉で素焼きとも呼ばれます。
素焼鉢は焼成温度によって質感が大きく異なります。
粘土を700~900℃の低温で焼き上げた鉢はクッキーのようにザックリとした素材なので、余分な水分や空気が鉢の表面からも抜けやすく、植物の根が呼吸しやすい鉢環境なので根腐れしにくく、水はけのよさを好む植物に向いています。今もハンドメイドで型押しして模様をつけたり、ハケで塗ったりと素朴な作りのものも多くみられ、劣化していくことで年を経るごとに雰囲気が出てきます。柔らかい素材なので、ちょっとした衝撃でも欠けやすく、水分を含んだまま凍ると寒冷地では割れることもあります。厚みのある大きなものはかなりの重量になりますが、それだけに安定感があり、倒れにくいというメリットがあります。
植木鉢といえば一番に思い浮かぶ「駄温鉢」は1000℃程度で焼いているので通気、排水性はやや劣るものの、その分とても丈夫。ビニールポットが普及するまでは育苗用の鉢としても重要な役割を担ってきました。
テラコッタは本来イタリアで作られた素焼き鉢をさしますが、現在では洋風デザインの素焼き鉢を総称してテラコッタと呼ぶことが一般的。1000~1300℃で焼かれたデザインの美しいものが多いので、最近ではガーデニングで素焼きというとテラコッタをイメージする人が増えています。テラコッタは底がフラットなものが多いので、水はけを確保するためにポットフィートなどを利用して底上げします。

おすすめの植木鉢

カルモー

粘土を大きな型を使って成形後に、もみ殻を燃料にして窯で焼いて作られます。
ホワイトウォッシュとよばれる乳白色のムラが鉢の表情を作っています。
厚みがあるので、しっかりとした重みがあります。
同じ粘土に鉱物を混ぜて土色をモカブラウンに変えたのがテラトープ同じくモカブラウンの土を使い表面にアンティーク加工してあるのがテラアスタです。
土に鉱物が入っている分、カルモーよりも硬く仕上がっています。

ウィトン

化粧土をハケ塗りしてから削り焼き付けているので、一つ一つ違った表情を楽しめるだけでなく、塗装ではないので表面の白が剥げにくく、同じ雰囲気のまま長く使用することができます。
高温で焼かれているので、寒冷地での使用にもおすすめです。

インティー

ハンドメイド製法でも使用されるオレンジ色のテラコッタを使ったポットシリーズで、均一な厚みとシンプルなデザインにこだわって作られています。
通気性・排水性がよく、ハーブや多肉植物など多湿が苦手な植物にも適します。

2.モスポットとは

最も素朴な素焼き鉢のひとつで、何年も使ったような寂びた風合いが持ち味です。飾らない乾いた質感は時代の気分にもぴったりで、雑貨屋さんでも大人気です。
石膏型の代わりに麻の袋を使って成形し、自然乾燥させてからラフに野焼きして作られるので、焦げや麻生地の織り目、シワだけでなく、ゆがみや欠け、ヒビでさえ鉢の表情として楽しむことができます。
定番の赤色は材料となっている土色そのものなので、とても豊かな表情が現れます。
灰色は、焼き上げるときに煙の出やすい材料でいぶして炭化させ黒くしたもので、寂びれた風合いが今流行りの多肉植物やサボテンにもよく合います。
ホワイトは、赤色のものを白く塗装することで、アンティークの風合いを出しています。土の中に埋めて、あえて苔をつけて何年も使ったような味わいを持たせることもあります。
テラコッタなどと同じように、余分な水分や空気が鉢表面から抜けやすく、植物にも優しい鉢環境です。
荒い素材なので、たくさんの水分を含んだまま鉢の端をつかんで持ち上げると割れることがあるので注意が必要です。
また、根がびっしりと張ってしまうと、植物によっては植え替えるときに鉢を割らなければ取れ出せない場合もあります。
直径6cmほどの超小型サイズから30cmほどとバリエーションも豊富。大きめのサイズでは、寄せ植えにしても素敵です。ほかの植木鉢にはない、ナチュラルでしっとりとした雰囲気の一鉢に仕上げることができます。

おすすめの植木鉢

モスポット スタンダード

口径の広い浅型のポットで、多肉植物の寄せ植えや球根のまとめ植えにもぴったり。
モスポットのスタンダードデザインです。

モスポット シリンダー

どっしりとしたシリンダータイプは広がる樹形のアガベや重量感のあるアロエやサボテンにぴったり。
ゆったり眺められる安定したフォルムです。

モスポット アザレア

モスポットの中では大きなサイズを取り揃えたシリーズです。
根の伸びるスペースが十分にある植木鉢らしい形なので、どんな植物にも利用できます。
ハーブやコウモリランといった横に広がる植物も綺麗です。

3.陶器鉢とは

屋外でも室内でも使える鉢で、優しい手触りと温かみが持ち味です。
陶器の原料は土。陶土といわれる粘土を1100~1200℃の高温で焼き上げています。
堅く焼きしめた鉢は水分が鉢に残っていても割れにくく、寒冷地でも安心して使用することができます。
水分が浸透しやすく、乾きもよいので植物にもよい鉢環境です。
使われる土の量にもよりますが、大きなものになると鉢だけでもかなりの重量になるので移動は大変ですが、申し分のない安定感があります。
表面は目が粗いのが特徴。もとになる土の粗さや鉱物の種類によって、色目や触った時のザラザラした質感が異なります。
陶器鉢には、土そのものを焼しめた「無釉陶器」と素地の段階で陶器の表面に釉薬(ゆうやく)という薬品を塗って仕上げる「釉薬陶器」に大別されます。
とくに釉薬陶器は釉薬を調合することで、鉢表面にヒビや濃淡など独特のテクスチャーを出すことができるので、同じもののないという陶器らしい面白味を出すことができます。釉薬は焼成すると溶けて鉢表面のガラス質の層となるため、美しいツヤを与えるとともに鉢をより堅牢にし、汚れが付きにくいように表面を保護することができます。金属類(鉄・銅・マンガン・コバルト等)を調合することで、さまざまな色を作り出すことができ、施釉するボディや焼成温度によっても色や質感が変化して味わいのある顔が現れます。
釉薬があるものは、ないものよりも保水性があります。
ここでは、釉薬のない土本来の質感が楽しめる陶器鉢と釉薬陶器鉢に分けて、おすすめの植木鉢をご紹介します。

おすすめの無釉陶器鉢

コントン・ポット

1割程度も縮むほどに高温で焼き締められているので、凍害にも強く、強光線や雨雪でも色あせない耐久性が自慢のポットです。
角を面取して表面加工を施してから焼成するなどディテールにもこだわっています。

トリニダード

焼く前に表面の土をヘラで削ぎ落とすことで土の中の小石が引っ張られた跡が残り、土ものらしいラフな表情を作っています。
チャコールブラウンは和の空間にもマッチする深い味わい、イエローベージュは南欧風のナチュラルガーデンにも似合います。

タンカ

密閉した空間に煙を満たしていぶす「燻焼き」の技術によって全体を濃淡のある墨色に変える工程を2回繰り返すことで、深みのある炭化グレーに仕上げています。
ロクロ成形の痕跡が残る、ハンドメイドの温かみを感じさせるポットです。

おすすめの釉薬陶器鉢

アガス ラブカボウル

焼成時に釉薬を煮て泡立たせ、窯出し後にその層の表面を削りとることで、深海や月面のような独特な表面を創り出します。
個性的で独創的なテクスチャーは、二つとして同じもののない陶器鉢ならではの面白さが詰まっています。

ウーヌス

鉄分が多く、強度のある赤土を高温で焼成した鉢で、深みのある輝きと上品なデザインが目を引きます。
釉薬によって表面がガラス質でコーティングされているので、屋外でも汚れがつきにくく、汚れても水で簡単に洗い流せます。

ヴィトロ

ウーヌムと同じ、鉄分が多く強度のある陶土を高温で焼成した陶器鉢で、ツヤのある大胆でビビットな色調が魅力です。デザインはいたってシンプル。
エンデカはポットスタンドにセットすることで、より軽やかに空間を演出できます。

4.半磁器の鉢とは

室内向きの植木鉢で、表面の肌が細かく、ツルツルとした肌触りが特徴です。
磁器の原料は石。岩石を砕いた粉を粘土と混ぜて形成し、約1300℃の高温で焼き上げています。強い衝撃を受けて割れるときにはパッカリと気持ちよいくらいに見事。陶器よりも硬くて耐久性があるので、薄く仕上げることができます。
型にはめて形を整えた後に焼きしめ、釉薬をを吹きかけて焼き上げるで、鉢表面が滑らかにコーテイングされます。
表面に吹きかける釉薬によって色を自由につけることができます。
例えばサボテンなどのように複雑な形を作ることができるので、雑貨的な側面もあります。
ブラックやホワイトは植物やインテリアを選ばないので、モダンなデザインのものが数多く流通しています。
強度が高く、軽量で輸送もしやすいうえ個体差も少ないので、観葉植物やランなどのセット販売にも広く利用されています。
量産を目的に作られているので、比較的低価格。色やシミといった汚れもつきにくく、清潔感があります。
陶器製の鉢よりも保水性があります。

おすすめの植木鉢

ルッカ

土と石の両方を材料にした陶器と磁器の中間的な存在のシリーズです。
赤みを帯びたベージュ色の地に塗料を吹き付けて仕上げているので、磁器のように透けずにさらりとクールな釉薬色が現われます。
近代的な大型トンネル窯で焼成されているので、ミドルサイズまでの植物に対応するサイズが可能。
しっとりとした落ち着きのある空間にはマットタイプ、よりモダンな場面ではツヤタイプをセレクトできます。

バージの選んだ焼き物の鉢

バージでは、高い品質とグリーンが映える洗練された美しいデザインを求めて、さまざまな国の商品をラインナップしています。
扱う商品は素材、色、デザインに試作を重ね、時には小さな工場に技術指導や設備投資をして生み出されたオリジナル商品も多数。
とくに陶器鉢は素材感にこだわり、特長的な技法を使った個性豊かな商品を揃えています。

耐久性でイチオシ

凍て割れに強く、寒冷地にもおすすめです

 

珍しいモノをお探しなら

釉薬や煙によって生み出す個性的なテクスチャーが人気

 

デザインの美しさでおすすめ

ヨーロッパの優雅で気品あるデザイン

 

使いやすさで選ぶなら

スタンダードなデザインとカラーが揃います

おすすめの関連記事

材質別 植木鉢のメリット、デメリット