樹形で変えよう、鉢の形!
植物と植木鉢のコーディネートは、部屋の雰囲気を左右する大きな要素だけに迷うところです。
植木鉢を選ぶときには、鉢の色や形、素材感を部屋のテイストや家具の色、好みなどに合わせることが基準になりますが、そこに「植物のシルエットとのバランス」を加えることで、より安定した美しい組み合わせを発見することができます。
雑誌などで見られるかっこいいなと思えるインテリアグリーンでは、植木鉢とのコーディネートで上手に植物の魅力が引き出されていますが、そこには植木鉢の質感やデザインだけでなく、見ていて美しいと感じる絶妙なバランスが視覚効果として大きく影響しています。
観葉植物にはまっすぐ伸びる姿勢のよいものものだけでなく、こんもりと茂るもの、くねくね幹が曲がるもの、何本もの幹が出て株立ちを楽しむものなど実にさまざまな樹形があります。
地植えと違い、入れ物の中で管理する鉢栽培では、見ていて安心感があることがとても大切。
バランスが良くないと気持ちも不安定になり、せっかく植物を持ち込んでもくつろいだ雰囲気が半減してしまいます。
この記事では、植物を4種類ののシルエットに分けて、それぞれの観葉植物がバランスよく見える植木鉢の形について、画像を使ってわかりやすくお伝えします。
植木鉢のコーディネートにこれでなくてはならないという組み合わせはありませんが、植木鉢選びに迷ったときの参考になさってください。
観葉植物にみられる、4つのシルエット
観葉植物を樹形で見ると、大きく4つの形に分けることができます。
携帯のカメラ機能などで撮影すれば、遠目から植物全体のシルエットを見ることができるので、樹形が確認しやすくなります。
同じ品種でもスタイリングによって樹形は異なりますので、植物の種類にこだわらず、シルエットを基準に選んでください。
- コップ形
勢いよく上に広がる枝葉を持つ植物のシルエットです。逆台形型に葉が広がるものや、株立ちのようにまっすぐに葉が上に伸びることで全体が四角形や長方形になるようなシルエットです。
スパティフィラムやオーガスタ、モンステラ、ヤシ類、サボテン、株立ちのサンセベリアや立性のローズマリーなどに見られる樹形です。 - ひし形
幹を中心に左右にバランスよく枝葉がつき、葉に程よいボリューム感のある樹木らしいシルエットの植物です。
木と言われると大概の人が思い描くコニファー、ドラセナやエバーフレッシュ、オリーブやアカシアに代表される樹形です。 - くびれた樹形
茎がくねくねと曲がり、茎と葉が微妙なバランスを保つ、自由度の高いシルエットです。
フィカス・ウンベラータやアルティッシマ、ガジュマルのようなゴムノキの仲間、トックリラン、幹を三つ編み仕立てにしたベンジャミン、茎が長いタイプのアガヴェなどに代表される樹形です。 - 低重心型
葉が小さめで少なく、枝葉の動きを楽しむような透けたシルエットの植物たちです。
ソフォラ・ミクロフィラなどに見られる樹形です。
おさえておきたい!植木鉢には、どんなが形があるの?
植物本来の魅力を最大限に引き出すコーディネートを考えるうえで、植木鉢の形を知ることはとても大切です。
一般的には植木鉢を形によって13種類ほどに分類できます。
植木鉢のスタンダード(基準)は、誰もが一番に思い描く「駄温鉢」のような口径と高さが同じ形で、このスタンダードを含むラウンドタイプから、少しずつ変化を加えることで分類をしています。
植木鉢の形がイメージできれば、植物の高さや幅とぴったり合う植木鉢を見つける早道になるかもしれません。
迷ったら口径と深さが同じであるスタンダード鉢がおすすめ。
ほとんどの植物を栽培することができるので、このタイプを選んでおけば間違いありません。
植物のシルエット別、おすすめの植木鉢の形
コップ型シルエットの植物がきれいに見える鉢の形とは?
茎が細長く、株元がすぼまったように見える逆台型シルエットの植物は、広がる角度に合わせて鉢の形を決めるとキレイに見えます。
ストレリチアやオーガスタのように幅が小さく上方向に広がるシルエットの植物には、植木鉢もユーポットやスクエア型に合わせると上方向に伸びる感じが強調されてきれい。
植物のシルエットと植木鉢のシルエットが同じになるとバランスよくまとまります。
大ぶりの植物で存在感がほしいときには、なるべく高さのある鉢を選ぶとモダンでお洒落な雰囲気が高まります。
勢いよく上に伸びる植物の中でも、サンセベリアのように株立ち樹形の植物は、根元から上部までボリューム感が一定で四角形になるので、植木鉢も同じように下にまっすぐ伸びるシルエットを合わせるときれいです。
どっしりとした安定感があるキューブ型やユーポットは、口径が広いことで窮屈感がなく、ゆったりとした気持ちで植物を眺めることができるのでおすすめです。
株立ちは一本一本の樹木が集まったものなので、それぞれの根がまっすぐに伸びる植木鉢の形は生育にも適しています。
植物の高さは植木鉢の高さの3倍以内。
植木鉢のラインにシルエットが合い、しかも植木鉢の3倍以内に植物がおさまると安定感のあるバランスになります。
◆鉢選びのワンポイント
コップ型シルエットの植物には「植木鉢と植物のシルエットを同じに」
◆おすすめの植木鉢の形
- スクエアタイプ
- キューブタイプ
- ユーポット
- パーテーション
コップ形シルエットにおすすめの植木鉢
大型観葉植物(10号・尺鉢以上)
中型観葉植物(6号~9号、尺鉢より小さいサイズ)
ひし形シルエットの植物がきれいに見える鉢の形とは?
葉に適度なボリューム感がある樹木らしいシルエットの植物には、スタンダードタイプの植木鉢がおすすめです。
スタンダードタイプの良さは、植木鉢そのものに完成されたバランスがあること。
ほとんどの植物はこの形にセットすれば間違いありません。
例えばコニファーならば、縦長で横の膨らみが小さいものは植木鉢もストンとしたユーポットやシリンダータイプ、横にも広がりのあるものはコニックやスタンダードタイプと合わせると安定よく見えます。
同じ植物でも品種によって樹形は異なるので、植物全体のバランスとともに重心がどこにあるのかを意識することで、植木鉢が選びやすくなります。
姿勢の良いアカシアには真っすぐに近い形の鉢を、開帳するレモンにはもう少し幅を持たせたシリンダータイプを合わせるなど、どっしりした安定感は安心感=心地よさに直結します。
植木鉢の3倍の高さまでに樹木の高さがおさまるようにすることはコップ形と同じです。
◆鉢選びのワンポイント
ひし形シルエットの植物には「スタンダードデザイン」
◆おすすめの植木鉢の形
- スタンダードタイプ
- コニックタイプ
- ユーポット
- シリンダー
ひし形シルエットにおすすめの植木鉢
大型観葉植物(10号・尺鉢以上)
通常のテラコッタより高温で焼かれた肉厚なコニックタイプの大型ポットです。
もやがかった深みのあるアンティーク仕上げは、ナチュラルなオーストラリア系の植物にもよく合います。
L、Mは尺鉢に対応します。
中型観葉植物(6号~8号、尺鉢より小さいサイズ)
色が混じりあった豊かな表情のユーポットで、耐久性に優れた厚手で重厚なつくりです。
表面がガラス質でコーティングされているので、室外で使用しても汚れがつきにくい仕上がりです。
Lは尺鉢に対応します。
くびれたシルエットの植物がきれいに見える鉢の形
上方に葉の広がる植物は、バランスをとるような形と大きさの植木鉢を合わせることがゆったりとグリーンを楽しむために必要になります。
くびれた樹形のうち、茎がまっすぐに伸びて上方で葉がぱっと開くような植物の場合は、葉のボリューム感に対して植木鉢が小さすぎると、とても不安定な気持ちになります。
できれば、植木鉢は葉が広がる大きさの半分ほどの横幅があると安心です。
エッグタイプやキューブタイプはとくにおすすめ。
葉のボリューム感に負けない、どっしりとした形の植木鉢を合わせるとバランスよく見えます。
ウンベラータのような茎が曲がりながら伸びて上方に葉があるものも同じで、鉢が細いと不安定。
茎と葉、植木鉢と葉の間に不規則な空間ができるので、中心から葉の展開部分が遠いほど植木鉢の横幅をとるようにすることで、上下のバランスが取りやすくなります。
◆鉢選びのワンポイント
くびれたシルエットの植物には「バランス重視」
◆おすすめの植木鉢の形
- スタンダードタイプ
- ユーポット
- エッグタイプ
- キューブ
くびれたシルエットにおすすめの植木鉢
大型観葉植物(10号・尺鉢以上)
特殊な塗装処理によって、サビが流れ落ちたようなアンティーク感を表現したヴァル。
どっしりとした風格が魅力のファイバーセメントの鉢カバーです。
40、50、60角と大型サイズを取り揃えています。
中型観葉植物(6号~9号、尺鉢より小さいサイズ)
ゆがみのないシャープで滑らかな仕上がりのシリンダーポットです。
防水インナーと専用のウッドスタンドが付いているので、植物を買ってきてすぐにスタイルよく飾ることができます。
低重心シルエットの植物がきれいに見える鉢の形とは?
重心の低い透けたシルエットには、植木鉢も重心の低いものを選ぶと、植物の可愛らしい雰囲気が出ます。
なるべくデザインもシンプルなものを選ぶことで、枝ぶりや葉の動きを楽しむことができます。
コロンとした丸型やふくらみのあるラウンドタイプなど植物、植木鉢ともにやさしい雰囲気にすることで、やわらかでほのぼのとした空間を作ることができます。
つる性植物の場合は、スタンダードタイプや高さのある鉢に植えるとつるが邪魔にならずに楽しめ、姿もとてもきれい。
高さがあるほどモダンに、低くなるほどキュートにまとまります。
◆鉢選びのワンポイント
低重心シルエットの植物には「重心低く、シンプルに」
◆おすすめの植木鉢の形
- ボール
- シリンダー
- スタンダードタイプ
低重心シルエットにおすすめの植木鉢
大型観葉植物(10号・尺鉢以上)
中型観葉植物(6号~9号、尺鉢より小さいサイズ)
おすすめの関連記事
材質別 植木鉢のメリット、デメリット