プランターで完熟トマトを!夏の人気野菜、トマトに挑戦

植木鉢でトマトを育てよう!

この記事では「植木鉢一個からはじめるベランダガーデン」をテーマに、同じ植木鉢を使って秋、冬、春植えの野菜をリレーして一年間野菜を育てています。
今回は家庭菜園でも一番人気のトマト。一年目の野菜リレーの最終ランナーです。
緑がかったトマトが懐かしいくらいに、最近は真っ赤なトマトをよく目にするようになりました。もちろん甘くてきれいなトマトですが、何となく物足りなさを感じませんか?
トマトは結実してから大玉で40~60日、小玉でも20~45日と、小さな割に花が咲いてから完熟するまで時間のかかる野菜です。その間ずっと太陽を浴びて木になったまま完熟したトマトの美味しさや実をもいだ時にふわっと漂うさわやかな茎の香りは育ててみないと味わえない贅沢です。植木鉢で身近に育てれば、愛情もたっぷり。
この記事では、トマトの育て方をわかりやすくお伝えするとともに、トマトにまつわる豆知識やトマトにぴったりな植木鉢をご紹介します。

◆「植木鉢一個からはじめるベランダガーデン」野菜リレー

秋野菜:リーフレタス
プランター栽培で収穫してすぐテーブルに。

冬野菜:スナップエンドウ
いっぱい取れて、花もかわいいつる性の野菜です。

 

トマト以外にもプランターで育てやすい野菜をこちらの記事でご紹介しています。是非お立ち寄りください。

トマトって、どんな野菜?

 

トマトの特徴

生食だけでなくケチャップやトマトソースなど加工品も多いトマトは、世界の年間消費量がもっとも多い野菜です。
日本に伝来した当初は真っ赤な色が敬遠されもっぱら観賞用として利用されていましたが、明治時代に食用として利用されるようになると、昭和に入ってからは日本人の味覚に合った品種が盛んに育成されるようになりました。
さらに最近の健康ブームによって豊富に含まれるリコピンの抗酸化力が話題になると、ビタミン、ミネラルをバランスよく含む健康野菜としてトマトの人気は急上昇。野菜の消費量が軒並み減っている中、ネギと並んで消費量が増えている数少ない野菜の一つになっています。
日本では寒くなると枯死する一年生植物ですが、アンデス地方などの自生地では乾燥地帯であるにもかかわらず長い年月にわたって生育し続け、8mから10mになるものも少なくありません。
世界では8000種以上といわれる品種の多さもトマトの未来を明るくしている要素かもしれません。

トマトの種類

色によって3分類

トマトはピンク系、赤系、緑系に大別されます。
世界では多くの品種が赤系ですが、日本では桃太郎に代表されるピンク系が生食用の主軸で、赤系はもっぱら加工用として栽培されてきました。
ピンク系トマトの果実はピンク色で、皮も透明なので淡い色になります。一方、赤系トマトは果実が濃い赤やオレンジ色で皮が黄色いため果肉の色と合わさって赤く見えるそうです。
日本でもリコピンの含有量が多い赤系トマトが注目され、真っ赤に完熟してから出荷できる品種が増えたことでスーパーでも赤系品種を目にすることが多くなってきています。
黒、緑、オレンジ、黄色など、豊富なカラーバリエーションは料理を華やかで色彩豊かに飾ってくます。

大きさで分けると大、中、ミニの3タイプ

果実の大きさによる分類では、200g以上を大玉トマト、20~ 30gをミニトマト、その中間のものを中玉(ミディ)トマトとして分けています。
中玉トマトは大玉を小さく改良したトマトで、そのまま食べても食べやすく、比較的糖度が高くて皮が薄いものも多いのでフルーツ感覚で食べることができます。
ミニトマトは、プチトマトやチェリートマトともよばれ、小さいながらも味わいのある品種も多く、最近は皮も薄く改良されてより食べやすい品種が増えています。

初心者必見!トマトの育て方

トマトを育てる3つの鉄則

草花以上に根が大切といわれる野菜苗の中にあって、トマトは引き抜いた苗を植えても根づくとか、横にして植えても立ち上がると言われるとても強い野菜です。畑では、カットした茎を土に挿したり、落ちた実からも発芽するなど、そのたくましさに驚かされます
そんなトマトですから、これから野菜作りを始めたい方にもおすすめ。3つのポイントさえ押さえれば、栽培は決して難しくありません。

鉄則その1「肥料は控えめに」
木ばかり大きくなって花が咲かない状態を「木ぼけ」といい、トマトはなりやすい野菜の一つです。花が咲かないと実にならないのでこれは大問題。吸肥力がとても強いトマトは、肥料が多いと木ばかりが茂ってしまうのです。植えるときには肥料を極力抑えて、生長を見ながら少しづつ追肥しましょう。

鉄則その2「乾燥気味に」
トマトは葉の大きなナスやキュウリと異なり、乾燥気味の環境を好みます。夏の水やりも一日一回で十分。その方が甘みやうまみが増して、濃厚な味の実を収穫できます。

鉄則その3「側枝はすべてカット」
各節位から側枝(わき芽)が発生し、放置しておくとその枝も育って花をつけます。たくさん収穫できてよさそうですが肥料が分散してよい実がならないので、側枝は小さなうちにカットしましょう。とくに大玉、中玉はすっきり一本になるように育てましょう。

植える時期

植えつけの適期は5月のゴールデンウィーク前後~5月中旬あたりまでです。
苗は4月に入るとちらほら店頭に並びますが、4月下旬になって暖かさを感じるようになってから買い求めることをおすすめします。
トマトは夏野菜の中では比較的寒さには強く、強い風が吹いても涼やかな葉を通り抜けてくれますが、それでも左右に揺さぶられると根が引っ張られて切れたり葉が傷んだり、最悪の場合は折れたりすることもあります。苗は土の準備が終わって、すぐに植えつけができるタイミングで購入しましょう。

トマト苗の選び方

土の準備ができたら、苗を準備します。
野菜苗というと茎が太く、葉の間隔が間延びしていないがっしりとした株がよい苗とされていますが、トマトの場合はすっきりとした、ちょっと間延びしているかのようにも見えるひょろっと苗がおすすめです。
これはトマトがつる植物のように茎が柔らかく、必ずしも姿勢良くまっすぐに伸びる必要がないので、どっしりとしているよりも伸びようとする力の強い苗の方が多収になるからです。ただ、葉が黄色くなっている株はすでに栄養バランスが崩れている可能性があるので避けた方が無難です。
トマト栽培では、最初の花を結実させることで成り癖がついて次に咲く花も確実に実にすることができます。
農家では、トマトトーンなどのホルモン剤を使って受粉させますが、苗を買うときにすでに一番花が咲いている苗はたくさんの苗があることで自然受粉している可能性が高いので、はじめて苗を買うときには、黄色が鮮明な花が一つ以上咲いている苗を選ぶと安心です。
トマトは下段から上段まで、同じ方向に花芽をつけます。もし花が咲き始めていなくても、花のつぼみがある苗を選べば収穫しやすい方向に植えつけられるメリットがあります。
開花から7~10日すれば実が膨らむので、苗を買い求めるときにはすでに青く小さな実が見え隠れしているものもあるかもしれません。

値段の差って・・?
苗を買いに行くと、同じトマトなのに3倍くらい値段に差がありびっくりすることはありませんか?
トマト苗には自根苗と接ぎ木(つぎき)苗があります。接ぎ木は文字通り2つのものをついだ苗。実のなる木の部分は美味しい、実が大きいなど食べるうえで大切なことに秀でた品種を使い、根として機能する部分(台木)は病気に強く、栄養吸収に秀でた別品種を使っています。接ぎ木は自根に比べて価格は高めですがより安心して育てられるメリットがあります。
少々荒っぽく扱っても大丈夫と言われるトマトも前述したように強風で振り回される状態では折れてしまうことがあります。接ぎ木苗のデメリットは、もし折れるとしたらこの「ついだ部分」であること。この対策は小さい苗のうちも仮支柱に結ぶこと。大きく揺さぶられない限り折れることはありません。
そしてもう一つのデメリットは、接ぎ木部分が土に埋まると、根に使った強い台木の方が育ってしまうこと。接ぎ木部分が土に埋まらないように植えつければ解決できます。

リレーして育ててくださった方へ

これまで植えていた苗と使用してきた土について解説します。

◆スナップエンドウ
花はほぼ一斉に咲き、実になったら終了です。暖かくなる5月はじめ頃には抜き取りましょう。

◆ワケギ
秋から春まで何度も収穫できたワケギは、暑い季節は球根として休眠し夏の終わりから秋に再度植えつけることができます。葉が黄色くなったら引き抜き、土を落として風通しのよい日陰でよく乾かせば貯蔵できます。

◆土
使用した土は株、根、葉を取り除き、1~2週間薄く広げて日干しします。時々かき混ぜながら、新しい培養土を1/3ほど加えます。市販のリサイクル材(微量要素やたい肥などを含んだリサイクル専用資材)を加えれば効果的です。今回、元肥は不要です。

◆鉢底石や植木鉢

よく洗って日干しします。鉢底石はプラスティック製のスリット鉢に入れてジョウロで水を注げば簡単に砂を落とすことができます。植木鉢もよく洗って日干ししましょう。

さあ、植えつけ開始!

トマト+バジルで見た目も素敵に

今回はトマトの「コンパニオンプランツ」としてよく知られているバジルを混植(影響し合うように近くに植える)します。
コンパニオンプランツとは、違う種類の野菜を一緒に栽培することで、病害虫を抑えたり生長を助けるといったよい影響が出る組合せのことです。
トマトとバジルは科学的に効果が解明されているわけではありませんが、お互いの味がよくなると多くの経験値が寄せられています。何といっても料理の材料としての相性は抜群、植えておけばとても便利です。
畑では、トマト以上に場所を占有するバジル。バジルは頂点をカットすると二股に分かれ、その先をカットするとまた分岐してどんどん株が横広がりになっていきます。土の中の根はトマトより浅く、水も好きなので与えた水だけでなく液体肥料もバジルが先に吸収します。限られた鉢の中では、トマトがバジルに負けないように茎ごとちぎってどんどん収穫し、トマトを圧倒しはじめたら根元からカットして栽培を終了しましょう。

用意するもの

  1. トマト苗 1本
    ミニトマトと中玉トマトが育てやすくておすすめです。今回はミニトマトの接ぎ木苗を植えつけます。
  2. バジル苗 1本
    トマト苗より背の低い苗を用意しましょう。
  3. プランター
    秋から使用しているイタリアンテラコッタ スタンダルドアリーナ13号以外にも、直径30㎝で深さ30㎝以上、容量15ℓ以上の大型鉢なら1株植えることができます。
  4. 鉢底石
    鉢底には鉢底石を入れましょう。根がよく伸びるので、鉢底石は底から5㎝ほどにして根の伸びるスペースをなるべくキープしましょう。
  5. 仮支柱20~30㎝×1本、支柱150㎝×1本
    仮支柱はどんな素材でも苗を支えることができれば大丈夫。ポット苗を支えるために、はじめから付属されているものもあるので買うときに確認してみてください。トマトは背の高くなる野菜です。本支柱は、太さ1.6㎝以上のしっかりした園芸支柱を使いましょう。
  6. 土・肥料
    記事でもお伝えしましたがはじめに肥料をたくさん入れると「木ボケ」になることがあります。一般的な培養土や野菜の土として販売されている用土であれば、肥料を追加する必要はありません。
  7. スコップ・ジョーロ・ヒモ
    ヒモは麻素材がおすすめです。太くてやわらかな素材は茎を痛めず、仮にカットしたクズが土の上に落ちても気になりません。

手順

植えつける前にたっぷり水やりしましょう。
葉の先まで水が行き渡るように1時間以上前には水やりを終え、直射日光の当たらない半日陰で休ませておきます。

1.鉢底ネットを入れます

鉢底ネットは、水分と一緒に土が流れ出すのを防ぎ、虫が入り込むことも防止します。

2.鉢底石を入れます

水はけをよくするため、鉢に鉢底石を入れます。

3.土を入れます

培養土を入れます。植木鉢の上から5㎝くらいはウォータースペース(水をあげたときに、土があふれないように)としてあけておきます。苗のポットの土の高さに合わせて土を入れ、表面を平らにならします。

4.バジル用の植穴を掘って、水を注ぐ

鉢の中央から10㎝以上離した場所に苗ポットより少し大きめの穴を掘って、植え穴に水を注ぎ入れます。手のひらでジョウロの穴をかざしながら水の強さを調整しましょう。

5.バジルを植えます

バジルを植えつけます。深植えにならないように注意しましょう。

6.苗周りを軽くおさえる

小指側の側面を使って植えてあったポットあたりを軽く押さえ、苗を安定させます。

7.トマト苗を植える

中央に植穴を掘って水を注ぎ、バジルと反対側に花芽がくるようにトマトを植え、土を寄せます。台木の芽が伸びないように、接ぎ木部分が土に埋まらないように注意しましょう。

8.苗周りを軽くおさえる

小指側の側面を使って植えてあったポットあたりを軽く押さえ、苗を安定させます。

9.仮支柱を立てます

苗にクロスするようにななめに仮支柱を立て、苗を結びます。1~2週間はそのままで、苗が根づくのを待ちます。

10.わき芽を取ります

わき芽があったら折り取ります。大きくなったものはハサミでカットしましょう。

11.水やりします

全体にまんべんなく、底穴から水が出るまでたっぷりと水やりします。

12.本支柱を立てます

植えつけから2週間、苗が安定したら本支柱を立てます。苗から5㎝ほど離してしっかりと支柱を立て、苗をヒモで結びます。

13.完成!

日当たりの良い場所に置きます。

その後の管理

茎を支柱に結び付ける作業と、わき芽のカットが作業の中心です。
茎はくねくねして柔らかく、実がなってくると枝の重さで折れてしまうことがあるので、20~30㎝ごとに支柱に結んでいくと安心です。
支柱の一番上までたどり着いたら先端をカットして、後は放任で構いません。
わき芽はすぐに大きくなって、本茎と区別ができなくなります。あまり大きくなってからカットすると株にもダメージが残るので、見つけ次第小さなうちにカットしましょう。
肥料は生長に合わせて少しずつ。花や葉が小さくなってきたり、色が薄くなってきたと感じたら追肥の時期です。
寒くなるまでいかに木が元気でいられるかが実をたくさん採り続けるポイントです。肥料をたくさん与えるよりも、吸収した水分や養分が実にうまく運ばれるようにすっきり一本に見えるように育てましょう。
ミニトマトは一度に10個以上実がつくことも珍しくないので、うまく育てれば1本から100個以上収穫することもできますよ。

おすすめの植木鉢

今回、使用した植木鉢と同じうような使い方ができる植木鉢をご紹介します。


チュニジアン ラウンド12号
大量の塩を含んだ土を使って焼き上げたピンクかかった白いポットです。オリーブの皮を燃料にして高温で焼きしめられているので、見た目よりずっと固くしっかりしています。地中海の風を感じる素敵な雰囲気です。容量は、すりきり21L。


イタリアンテラコッタ シリンドロ アリーナ15号
どっしりとしたフォルムのテラコッタポットで、口径が広いのでコンパニオンプランツの混植にもぴったり。バジルやタイム、ナスタチュームなどのハーブ類も一緒に楽しめます。容量は、すりきり28L。