簡単!アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの見分け方と育て方!

見分けるポイントがわかれば、モヤモヤもすっきり

ハナショウブとカキツバタはアヤメ科の植物なのでアヤメと読んでも間違いではありません。
しかし、品種で分かれてる以上そこには区別されるだけのはっきりした理由があります。

間違いやすいハナショウブ、カキツバタ、アヤメとジャーマンアイリスの見分け方と植木鉢での育て方、アヤメ科の植物にぴったりな植木鉢を厳選してご紹介します。

アヤメとは、どんな植物?

アヤメ

日本人好みの花

この花たちの魅力は花自体の美しさだけでなく、その立ち姿。
まっすぐに背筋の伸びた凛とした姿は清楚でありながらも力強く、冬には枯れて、春にまた青々した葉を吹き出す潔さも日本人好みかもしれません。
初夏には情緒ある姿を楽しもうと菖蒲園などに行かれる方も多いと思います。
アヤメというと水の中で育つイメージですが、本来は水辺には生えることのない種類も情感を味わうために花の時期だけ水辺近くで管理されることもあります。
そのこともアヤメの区別をわかりにくくしている原因の一つなのかもしれません。

アヤメの特徴

アヤメは北半球の温帯に250品種が分布しています。
山野に自生していることもあり、日本では昔から身近な植物として親しまれてきました。
いずれの種類も春から初夏にかけて可憐な花を咲かせますが、日照条件や水加減の好みなど、品種によって性質は大きく異なります。

アヤメの種類

アヤメ科の植物には、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブの他にも、小型のシャガ(アヤメ属)やヒオウギ(ヒオウギ属)、ヨーロッパ原産のジャーマンアイリス(アヤメ属)やダッチアイリス(アイリス属)、クロッカス(クロッカス属)、フリージア(フリージア属)、グラジオラス(グラジオラス属)などがあります。

ここでは、その中でも花がについて見分けがつきにくいアヤメ、カキツバタ、ハナショウブ、ジャーマンアイリスの性質や見た目の違いについてわかりやすくお伝えします。
ポイントがわかれば、道端で見かけても迷うことがなくなります。

アヤメ

アヤメ
生育適地 花の中心 開花期 葉の色 葉の筋(中脈) 葉幅
低い山、高原、草原 網目模様 5月上旬~中旬 目立たない 1cm前後

カキツバタ

カキツバタ
生育適地 花の中心 開花期 葉の色 葉の筋(中脈) 葉幅
湿地 白色のV型 5月中下旬 明るい緑 なし 2~3cm

 

ハナショウブ

ハナショウブ
生育適地 花の中心 開花期 葉の色 葉の筋(中脈) 葉幅
湿り気のある場所 黄色のV型 5月下旬~6月下旬 目立つ 1cm前後

ジャーマンアイリス

ジャーマンアイリス
生育適地 花の中心 開花期 葉の色 葉の筋(中脈) 葉幅
乾燥地 つけ根の近くにブラシ状の毛 5月~6月 なし 2~3cm

4つの特徴についてまとめてみました。
一番わかりやすいのは、やはり花の中心
花の中心網目があればアヤメ
白い線ならカキツバタ
黄色い線ならハナショウブ
ブラシがついていたらジャーマンアイリスです。

アヤメの育て方

アヤメ

アヤメのおすすめポイント

初心者でも育てやすい。
日本的な植物と組み合わせた寄せ植えにも。

特徴

アヤメは高さ20~60cm、葉はまっすぐに立ち、茎の先端に1~3輪の花を咲かせる多年草です。野生種と思えないほど完成度の高い花は紫、白色がありますが、白色を道端で見かける機会はほとんどありません。湿地の植物のように思われていますが、低山や高原などのような日当たりがよく涼しい草原に見られる植物なので、地植えでは花壇のふちに列挙したり、石組みの隙間に植え込むとうまく育ちます。茶色くなった葉をカットすると、春には一斉に芽吹きます。

植木鉢で育てるポイント

ハナショウブより小ぶりで控えめなので、寄せ植えや盆栽仕立てにも利用できます。三寸アヤメや五寸アヤメなどの小型のものは、とくに鉢栽培におすすめ。水は表土が完全に乾いてから。水辺の雰囲気を演出したい場合は、根腐れするので、花の時期だけ水につけて楽しみましょう。

カキツバタの育て方

カキツバタ

カキツバタのおすすめポイント

水辺の演出におすすめ。
水を貯めた睡蓮鉢で雅な雰囲気を楽しもう。

特徴

日本、中国、朝鮮半島に分布する湿地性の植物で、池や沼地など常に水のあるところを好み、ビオトープなどにもよく利用されています。花弁は比較的幅が狭く、先がとがっているので野性味が感じられます。基部から中央部分にかけて白い一線が入る美しい姿は、万葉集にも詠まれてきました。江戸時代から改良が進み、現在は50ほどの園芸品種があります。ハナショウブよりも開花期が長く、草丈60㎝前後、花弁も大きく見栄えもいいことから、カキツバタだけを集める愛好家もいるほどです。アヤメ科の植物の中では最も水を好むので、周年乾かさないことが大切です。

植木鉢で育てるポイント

鉢に植え、水を張った睡蓮鉢や甕などに半ばまで浸して育てれば、自宅でも育てることができます。アヤメ同様、高温多湿は苦手なので、夏場は風の通る半日陰で管理し、水温が上がりすぎないように注意します。アヤメの中では多肥を好むので、3~4月と7月、9月には草花用の液肥を与えましょう。

ハナショウブの育て方

ハナショウブ

ナショウブのおすすめポイント

色彩の魔術師と呼ばれる豊かな花色、よく咲く。
極端に乾燥しなければ、どこでも育てられる。

特徴

青、紫、ピンク、白、オレンジ、黄など花色のバリエーションはとても豊富で、さらに花色は増すばかりです。日本を代表する古典園芸植物で、日本に自生するノハナショウブをもとに江戸時代から盛んに交配され、現在2000以上あるといわれています。菖蒲園などでも利用されますが、本来ハナショウブが水中に生えることはありません。花形は、三英咲き(さんえいざき)と呼ばれる3枚の弁が大きく目立つものと、6枚の弁が広がる六英咲き(ろくえいざき)、八重咲きなどがありますが、いずれも花の基部の黄色がアクセントになっています。

植木鉢で育てるポイント

比較的小さな鉢でも育てられるので、花の時期だけ玄関先や室内で鑑賞することもできます。群れて咲く姿を見たいときは、深さ30㎝以上の大きめのコンテナを使うのがコツ。日陰では育ちにくいので、半日以上は直射日光が当たる場所で管理します。湿り気のある場所を好むことは頭の片隅に置いておきましょう。

ハナショウブは育成地によって3タイプに大分できます

鉢栽培では伊勢系、肥後系がおすすめです。
・江戸系ー屋外用、他の系統より性質が強く、草丈が高い
・伊勢系ー鉢植え向き、草丈が低く、花と葉が同じ高さ
・肥後系ー鉢植え向き、群生美よりも個々の美しさをめでる

ジャーマンアイリスの育て方

ジャーマンアイリス

ジャーマンアイリスのおすすめポイント

アヤメの仲間で最も華やかな”虹の花”
日当たりさえよければ、どんな場所でも育つ。

特徴

紀元前150年頃のエジプト、ファラオにも彫られていたといわれる花で、ヨーロッパに野生するゲルマニカをもとに交配されてきました。レインボーフラワーといわれる多彩なカラーと、冠を思わせる大きく豪華な花は、1株あるだけでガーデンをパッと明るくしてくれます。地際の根茎が丸く大きくふくらんで球根のような形になり、横に這うように広がっていきます。花弁のつけ根の近くにブラシのように毛が密生しているのが特徴。花姿は個性的で香りもあります。切り花にしても水をどんどん吸いあげて蕾が確実に開花するといわれるほど生命力の強い植物です。最近は40~60㎝のコンパクトなメディアンアイリスも登場してきています。

植木鉢で育てるコツ

一般的なトール種は日当たりさえよければ育つといわれるほど強健で、コンテナで育てる場合は深さ50㎝ほどあった方が無難です。乾燥気味に育てますが、花の時期だけは表土が乾かないように管理しましょう。多肥にすると手に負えなくらい育つので注意。

アヤメに大切な株分け作業

アヤメ科の植物は根の成長が早いので、鉢植えは1~2年(地植えは3~4年)を目安に株分けをします。
時期が遅くなると夏の暑さで株が弱ってしまうので、植え替えは花後なるべく早く行いましょう。
少し手間に感じる作業かもしれませんが、植え替えをしたたほうが来年の花も多く咲きます。
このタイミングで肥料も与えましょう。

植え替え時期目安

アヤメ
株を2~3つに分けるようにハサミで切ります。開花直後に行い、7月中旬くらいまでには終わるようにします。

カキツバタ
開花直後に行います。古い土を落として、新しい用土で植え直します。葉は半分くらいの長さに切り詰めます。

ハナショウブ
開花直後に行います。古い土を落として、新しい用土で植え直します。葉は半分くらいの長さに切り詰めます。

ジャーマンアイリス
葉を半分ほどに切り詰め、新しい用土に浅く植えつけます。8~9月が適期ですが、暖地では10月でも大丈夫。寒冷地では早めに行い、冬までにしっかり根を張らせましょう。

アヤメ科の植物の育て方【まとめ】

アヤメ

・日当たりのよい場所に
・表面が完全に乾いてから水やり
・梅雨の時期は雨の当たらい場所へ移動
・植えつけは、花後と2~3月

カキツバタ

・湿地性植物
・水を貯めた容器に沈めて管理
・多肥好み
・植えつけは、真夏と真冬を除き、ほぼ周年

ハナショウブ

・水は好きだが、水生植物ではない
・半日以上は日に当てる
・一般的な草花の育つところでOK
・植えつけは、春から初夏、秋

ジャーマンアイリス

・日当たりのよい場所に
・乾燥気味に
・肥料の与え過ぎに注意
・植えつけは、春から初夏、秋

アヤメにぴったりな植木鉢とは

東洋的なアヤメ、カキツバタ、ハナショウブと西洋的なジャーマンアイリスは見た目だけでなく、生育環境にも大きな差があることをお伝えしました。
植木鉢は素材によって、水分の蒸散のスピードに差があるので、それぞれの特徴にあった素材と大きさの植木鉢を選ぶことが大切です。

植木鉢の選び方や聞き慣れない大きさ(号数)についての解説記事もあるので是非一緒にご覧ください!

 

アヤメにおすすめの植木鉢はこちら

最も小型で寄せ植えにも合わせやすいアヤメは、4号鉢程度の素焼き鉢で楽しめます。アヤメは低い山や高原地帯の草原など、風通しがよくさらっとした土壌を好むので、水はけさえ注意すれば土質も選びません。

タンカ

タンカ
密閉した空間を煙を満たして炭化させる「いぶし焼き」で作り出した、瓦のように鈍い光沢をまとった墨色が特徴のポットです。和風な寄せ植えなど、趣のある情景を作り出すのも得意です。

カッソル

カッソル
自然な風合いが持ち味の中型ポットシリーズ、カッセル。和の雰囲気を持つやさしいライントとカラーが清楚なアヤメのイメージによく似合います。同じ素材の受け皿もあるので、花の時期だけ室内で楽しむときも雰囲気を壊すことなく利用できます。

ハナショウブにおすすめの植木鉢はこちら

ハナショウブは肥後系、伊勢系のような背が低めの系統を選べば6号程度の比較的小さな鉢でも育てられます。湿地性の植物ですので、乾かないように育てるのがポイント。素焼き鉢のような乾きやすい素材よりも、プラスチック素材や陶器鉢でも釉薬を施して表面からの蒸散がしにくい素材の方が向いています。

グリーンヴィルグリーンヴィル ボウル
原料の70%に再生プラスティックを使用したポットで、受け皿部分が貯水スペースになっているので、常に水分を保つことができます。鉢表面はUVカットされているので日焼けにも強く、日向を好むハナショウブにも安心です。

ジャーマンアイリスにおすすめの植木鉢はこちら

ジャーマンアイリスのように生育旺盛なアヤメは、地植え向きの品種といえますが、1株ならば深さのある7号以上の素焼き鉢で楽しむことができます。大型の横長プランターなら3株ほど、深さ50㎝以上の大型コンテナなら群生する姿も鉢栽培も可能。3株ほどを横長のプランターに植えてエントランスに列植すれば、見ごたえのあるコーナーになります。葉も大きくよく目立つので、優しい雰囲気の草花と隣り合わせて植えないようにしましょう。

ナーセリーポットナーセリーポット ハンドル付き

底面にたくさんの水抜き穴があるので水分管理がしやすく、乾燥を好むジャーマンアイリスの管理にもおすすめです。ハンドルを引っ張って移動しても耐えうるタフなつくりは、移動もしやすくて安心です。